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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのKHのレビュー・感想・評価

2.5
時代設定の緻密さが圧巻。
アメリカの先住民族・インディアンってもっと暴力的な迫害をされていると思ってたけど、
石油を掘り当てて土地の収益権で富を築いたインディアンが居ること自体に驚いた。
とはいえ、白人(主にロバート・デ・ニーロ)のしたたかさは恐ろしい。華々しい独立を勝ち取り建国に至ったアメリカとは対比的に、インディアンを迫害した負の歴史は、もはや現代のアメリカ人に罪の意識として遺伝子的に刻み込まれるであろう(1部のインテリア層だけかもしれないが)題材を、マーティン・スコセッシは映画を通してもう一度向き合い直そうとした作品。
その為、時代背景を含めた設定の緻密さが徹底的だと最初に感じた。

内容としては、流石に206分(2時間26分)は余りに冗長。
映画自体も時間を忘れる面白さというより、じわじわ来る嫌な感じがずっと続いてるから、早くこの地獄よ終わってくれという感覚。
最序盤の異民族のエキゾチックな映像表現は面白いし、最後の演出(エンドロールも含め)も面白かったけど、
中盤がすっごく長い!!!

確かに人間の美醜が描かれてると賞賛するコメントが多いし、レオナルドデカプリオの矛盾した難しい役も素晴らしいけど、それを描くのに206分も本当に必要だった??って思しまう、他にこういう路線で優れた作品は沢山あるからこの映画固有の凄みは本当にそこなのか?ってなった。
いかにも映画好きが好きそうな映画だなと思ってしまった。
過程をたどると、演出も演技も素晴らしいし、時代考証も徹底されてるけど、それに対する問題提起とかテーマ性とかを感じられなくて、鑑賞後そんなに大きな感情の揺れ動きもなかった。
一つ一つの要素に着目すると凄さも十分にわかるし、面白みもあるけど全体として俯瞰した時に大きな感動は正直感じられなかった。
アカデミー賞の有力候補らしいし、そこは凄く納得できるけど、、、
あと、今みたいにDNA鑑定や指紋採取の技術が無く当時の捜査能力が余りに低いため、犯罪の手段があまりに杜撰で思わず笑ってしまった。
KH

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