ツクヨミ

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのツクヨミのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

もはや安心してしまうスコセッシの映画術と極まっていくアメリカの闇系サスペンス。
マーティン・スコセッシ監督作品。3時間20分越えの長尺でありながらやはりスコセッシの新作と聞いて見ないわけにはいかない感じで鑑賞してみた。
まずオープニング、インディアンの儀式的な謎のはじまりから唐突に石油が吹き出したと思ったらスローモーションになりBGMのみになる音響の妙が"グッドフェローズ"のオープニングみたいで初っ端スコセッシやなーと言いたくなり拍手したくなった。
そしてそんな石油浴びインディアンからいきなりサイレント的な正方形の画角になり、またもやサイレントな字幕が入るとほんとに時代背景とそっくりなモノクロ映像がニュース映画を思わせる仕様にニコニコになってしまう。わりかしど直球なサイレントオマージュなんだが処女作"ドアをノックするのは誰?"でもそういう直球な映画愛を披露してたなと改めてある意味原点回帰さまで感じた。
まあ本編は第一次大戦帰りのディカプリオがデニーロ扮する叔父が権力者なインディアン共生空間でちょっとした成り上がりを見せるストーリーになっており、やはり上司というか上の立場のデニーロの立ち位置なんか"グッドフェローズ"っぽいしやっぱりスコセッシ的なバイオレンス裏社会が垣間見える仕様には"ギャングオブニューヨーク"的なアメリカ裏社会ものな雰囲気もバリバリ感じる。そしてそこにディカプリオ扮する主人公がインディアン女性を愛し夫婦生活を続けていくがやはりなんかうまくいかない感じも"レイジングブル"や"ウルフオブウォールストリート"の如くスコセッシ味を感じるのも相変わらず。スコセッシはどんだけ年取ってもスコセッシやなーってもはや安心してしまうぐらいだ。
また今作の肝は禁酒法時代での白人の罪というべきか、白人たちがいかにインディアンを食いものにしてきたかというのが如実に見える仕様がもはや胸糞にも感じるというか。インディアン妻を信じたい心とデニーロかやのイヤーな搾取しろ圧力と板挟みになってしまうディカプリオには心中お察ししますみたいにヒリヒリな空気感を共有するえぐみがすごい。そしていつのまにかバイオレンスのすごみが爆発し裏切り行為の"グッドフェローズ"ぽさが見えるラストまですげースコセッシ映画だった。3時間20分の尺で流石に長いとは思ったが劇中で飽きることはまったくない凄みよ。あとラストショットのバークレイショットなんかけっこうタイトル回収的旨味を感じて良いラストだったなー。
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