静

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンの静のレビュー・感想・評価

3.5
観る前から既に疲れていたため 約3時間半もの長編に耐えられるか不安でしたが、 期待値の高い作品だったため ☕️や上着などの準備を整えつつ 身を押してIMAXで鑑賞しました。

結論から言うと、事前イメージに近いシリアスな実話ベースのクライムサスペンスで、複雑な展開から徐々に淡々と明らかになっていった独裁的コミュニティのイチ結末を、席を立たずに観続けられました。

まずレオの演技は見事で、最初の登場から表情・歯・声が別人のようでした。そして彼のイメージとは異なる、無知で純粋で弱い主人公アーネストがいました。逆にデニーロ演じるビルは真逆の性格で、キングなどと呼ばせることからもその一旦が垣間見えました。

そして物語は、表の賑やかで愛想あるように見える日常と、裏で隠れた思惑と事実の衝撃的な映像が 度々写り替わり、先住民オセージ族の言葉の翻訳字幕が載ったり載らなかったりしながら、観衆の関心を引きつつ想像力に働きかけてきました。

気になる点として、オセージ族の儀式・動機・行動、ラストや後日談の展開など、幾つかありましたが、社会的に価値ある貴重な作品であることは間違いありません。

オイルマネー×先住民族×某組織といった巨大利権に関わる重大キーワードを挙げながら、裏の歴史をこれほど直接的に明かした映画が制作され、無事公開されたことに驚きです。


〜以下ネタバレ少しあり〜


タイトルについて、
フラワームーンとはインディアン達を示しており、キラーズとは白人達のことでしょう。

ちなみに原作副題は、
『 The Osage Murders and the Birth of the FBI - オセージ族 連続怪死事件とFBIの誕生 』

なんとこれがFBI創設のキッカケとなった重大事件とのこと。本編後半でも随所で関連シーンがあり、後に有名なあの名前も出てきました。

また妻モリーを演じたリリー・グラッドストーンは、実在した彼女の写真と見比べると かなり似ており、本編でこの事件が一気に進展したのも、無駄かと思われたモリー決死の働きかけが大きかったのではないかと想像しました。

そして最後スタッフロールで気付きましたが、レオナルド・ディカプリオが エグゼクティブ・プロデューサーとして名を連ねており、どうやら本作の企画そのものから 彼が強い熱意を持って大きく関わったらしく、彼の行動力と新たに成し遂げた成果に脱帽です。

今回 評判とは裏腹に予想より観客が少なく、かなりイイ席で観れたのは個人的には良かったですが、すぐにIMAX上映は終わりそうなため、没頭してご覧になりたい方は早めに行った方がよさそうです。

公式 https://kotfm-movie.jp
原作 https://www.hayakawabooks.com/n/n407023636a52

p.s.
マーティン・スコセッシ監督
その他 主な実話映画
・ウルフ・オブ・ウォールストリート (レオ)
・グッドフェローズ (デニーロ)
・アイリッシュマン (デニーロ)
・カジノ (デニーロ)
・レイジング・ブル (デニーロ)
・アビエイター (レオ)
・明日に処刑を

調べてみると 概ねどちらかが出演されていましたが、スコセッシ監督作での初共演がようやく実現されたのですね。
静