ながみーね

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのながみーねのレビュー・感想・評価

3.4
 見所が無いわけではないが基本退屈してしまった。
 本作は扱う“事件”自体は興味深いが“物語”はだいぶ弱いように思う。主人公のアーネスト(ディカプリオ)はあまりにも馬鹿が過ぎる人物であり結局ただただヘイル(デニーロ)にいいように使われてしまうため主人公としては魅力が無さすぎる。久々に見ていてイライラする主人公だったしそんな奴が主人公だからイマイチ話が盛り上がらない。彼は自分の信念を貫いて愚かなことをするのではなく基本何も考えていない馬鹿で無能な人物だ。ヘイルは山守親分になりえるがアーネストは広能にはなれない。
 またスコセッシという監督はその場面自体に緊張感があるシーンはある程度面白いものにはなるが何気ない場面を堅実に演出することが得意ではない。昔から言われていることだけど。とにかく手数で目先を変えることで観客を飽きさせないようにする人であり、そのためスコセッシ作品の映像は“そこに世界が存在している迫力を感じる映像”ではなく“ただの情報”にしかなってない場合が多い。だから本作でも話が盛り上がる前の序盤は物凄く退屈に感じてしまうし役者の表情に頼ったアップの切り返しや目先を変えるためだけの俯瞰映像、切れ味のない移動撮影(移動しながら必要な情報を画面に収めました撮影)の多用は観ていて辛かった。物語を盛り上げようと頑張るディカプリオの顔よりも、的確で抑えた演技をするモリー(リリー・グラットストーン)の顔が魅力的だった。
 映画について考えさせられる、良くも悪くも興味深い作品でした。
 
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