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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのiのレビュー・感想・評価

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近代から現代にかけての人間の歴史的な歩みの一側面を丁寧に繊細に照らし出して浮き彫りにしたような映画だった。

とんでもない暴力は、とんでもない狂気から生まれるのでは決してないということ。
静かにゆっくりと、でも確かに流れ続けている川のように、この映画全体を覆う欲望の静かな狂気は、現代の私たちの心の底に通底しているんだろうな。
というか、川底の沼というのか。

3時間半たっぷりと目の前で流れた映像のリズムを、映画を見終わった後に自分の中にも見出すようなそんな感じで人間の恐ろしさを実感して、映画でしか表現できないものが確かにあるのだと再確認。

個人的には、原住民族の伝統的な呪術や祝祭と、近代の大きな波の対立関係には、同時代のパリのブルトンやバタイユのことを思わずにはいられない映画でもあった。
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