KeiRalph

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのKeiRalphのレビュー・感想・評価

4.3
Apple TV+のバックアップで長尺大作に耐えうる豊富な予算を得て、一目見れば誰が見てもスコセッシと判別できる、いつも通りの安定感。でも、それが良いんだよ!

白人至上主義が過ぎる時代の悪しき黒歴史、今年見た「福田村事件」同様、主権国家が無かった事にしたい事件を、もっと浮き彫りにしてもらいたい。

オセージ族の受益権を、時間をかけてごっちゃんする為に、表向きの善意の人を装い続ける「キング」ことヘイル。ネイティブ・アメリカンに向けるそれと、身内に露見する腹のうちの表情には明らかな差はなくとも、デ・ニーロお馴染みの胡散臭い表情&仕草で感じ取らせるあたり、年齢を味方につけてるな〜、と感じました。

そんなキングに対し、キングオプパシリの称号を与えたい位の犬っぷりを発揮したアーネスト役のディカプリオ。スコセッシ作品に限らず、「いっぱいいっぱいの思い詰めた人の役」を演じさせたらもはや右に出るものは居ないでしょう。前半〜中盤までは余裕ぶっこいてましたが、後半以降、唯一守り続けていた家庭に起こった出来事で、ようやくパシリから脱却しますが、それにしたってちょっとくらい他人のこと疑えよ!と思わざるを得ない。

それより、偶然掘り起こされた石油によって莫大な金という富を手に入れたと同時に、民族としての心の富が奪われていくオセージ族の哀しみが何より一番胸に突き刺さりました。
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