LuluY

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのLuluYのレビュー・感想・評価

2.4
全体的にシンメトリーを崩そうとしているのが狙ってやっているなら大成功な映画なのかなと思いました。
編集のリズム感がどうも合わなくて、シークエンスとシークエンスの間に全く繋ぎがなくブツぎりで、BGMも一緒に急に静かになったりする。
私立探偵の殺人シーンが2回あって、2回目は犯人の顔出しするから意味があるのはわかるけど、繰り返しが無駄なように感じるし、アナの件はまず法廷での証言で何が合ったかを観客は知るのに、犯人の一人が殺人後家に戻ってきてからのシーンがまず挿入され、その後に森での殺害シーンがきて、時系列が逆なのもなぜかわからなくて鑑賞中モヤモヤしました。
一緒に鑑賞した夫に聞いてみたところ、
でも何がどう合ったかは正しく解釈できてるやん、それなら違和感や不快感を与えることが狙いだったならこの順番で良かったんじゃないか
とのことで、なるほどなと思いました。
かたや夫はわたしが何も思っていなかったシーンで不快指数が上がっていたそう。


3時間26分の超大作で3分の2過ぎた頃にようやくジェシープレモンスが登場して、ここまでのズブズブと嫌な気分の沼に浸かっていたのがようやく別の方向に向かえそうな希望の光が見えてめちゃくちゃ嬉しかった。
元々はFBI捜査に重きを置いた脚本だったのをディカプリオが、白人の黒歴史の懺悔と洗浄のためにも先住民の苦悩を核に描くべきと助言しキャスティングも映画の方向性が変わったそう。
苦しめた人が語る話と、苦しめられた人が語る話では、いくらどんなに歩み寄っても重みが違ってくる。結局のところこの映画も何がどうあったかを忠実に描こうとはしているし白人の汚いところも顕にしているけれど、誰も抗えないキングという一人の男にわりと多くの部分を背負わせているところが正直ちょっと言い訳がましい。
LuluY

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