ぶみ

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのぶみのレビュー・感想・評価

2.0
「花殺しの月」の夜、先住民を標的にした連続殺人の幕が開く。

デイヴィッド・グランが上梓したノンフィクション『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』を、マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロ、リリー・グラッドストーン等の共演により映像化したドラマ。
石油の発掘により莫大な富を得た先住民オセージ族が次々と殺される連続殺人事件が発生、先住民の女性と結婚した主人公と、事件を捜査する捜査官等の姿を描く。
原作は未読。
主人公となる男性アーネスト・バークハートをディカプリオ、彼の叔父で地元の有力者であるウィリアム・ヘイルをデ・ニーロ、アーネストと結婚した先住民モーリーをグラッドストーン、事件の捜査にあたるワシントンD.C.から派遣された捜査官トム・ホワイトをジェシー・プレモンスが演じているほか、ブレンダン・フレイザー、タントゥ―・カーディナル、ジョン・リスゴー、バリー・コービン等が登場。
物語は、1920年のオクラホマ州オセージ郡を舞台とし、石油が採掘されるシーンでスタート、以降、叔父をたよってやってきたアーネストがモーリーと結婚する様や、不可解な連続殺人事件により町が混乱に陥っていく過程が描かれるのだが、その事件の驚愕の真相に迫っていくサスペンスやミステリというよりも、そこに至るまでの群像劇的な要素が強め。
展開としても、時折ホラーのジャンプスケアよろしく突然大きな音が鳴り響いたりする演出があるものの、物語そのものは思いのほか平坦でメリハリが少なかったかなというのが正直なところ。
そのため、記憶が正しければ、私がスクリーンで観た中では最長の約3時間半に到達しようかという上映時間は、体感的にはそのままであり、非常に長く、一応頑張って最後まで集中しようとしたものの、何度か集中力が途切れることもあった次第。
反面、1920年代を反映させたセットや小物のクオリティは非常に高く、当時の世相や人種差別等々が手に取るようにわかるものであるとともに、何より、後にFBIとなる捜査局が、その初代長官となるジョン・エドガー・フーヴァーの指揮の下で本事件の捜査にあたったというのは驚きの事実。
時代設定や、扱っているテーマ自体は非常に興味深かったのだが、その長さから構えてしまったせいか、はたまた映画的なエンタメ度が低かったせいかはわからないが、いつ面白くなるのだろうと思ったまま、ラストまで行き着いてしまい、今一つハマることができなかった反面、私も含め、観客が誰一人として途中トイレに席を立つことがなかったことに対し、天晴れをあげたい一作。

今日はビュイックで?
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