バートロー

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのバートローのレビュー・感想・評価

4.2
何も白人に限ったことではなく、人類が繰り返している悪行の一つとして捉えると全く他人事じゃないね。狡猾サイドをデニーロ、愚鈍サイドをレオが担う先住民が相手の鬼畜ファミリービジネス。意外にもこれまでのスコセッシギャングムービーのフォーマットに則っていて、差別、強欲、嫉妬、暴力、搾取の連鎖でオセージ族の富をミルクシェイクのように吸っていく。民族浄化のような面も見られるのに、ただ先住民族を虐殺して土地を奪っていた頃よりはマジだろ?みたいな新たな植民地支配マインドが最凶すぎる。言葉や態度はご立派にオセージ族の味方を振る舞うデニーロ、おじに頭が上がらなくてとりあえず命令に従うレオ、どちらも悪党だし、どちらにも現在進行形で我々にも身に覚えがあるんじゃないだろうか。両手足の指が何本あっても足りない罪をスコセッシがじっくり数えていくような映画であり、恐ろしいことにちゃんと面白く作られている。確かに腰を据えて見るのは大変だけど、殺害されたオセージ族の事を考えたらあんまり長い長いと文句は言いにくいし、手抜きしないでやるよってところに白人としてのスコセッシなりの誠意があるような気がする。