ゆきゆき

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのゆきゆきのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

3時間半弱という長尺だがその分の見応えはしっかりあり。原作未読だが、これでも実際に起きた事件の真相全部が描かれているわけではないとのこと。

一連の事件の黒幕であるヘイル。彼のアメリカ先住民(インディアン)に対する考え方があの時代のスタンダードであったのだろう。インディアンは搾取の対象であり、人を人とも思っていない。そして「俺様があいつらを保護してやっているんだ」という傲慢な態度。アメリカのみならず数多くの国で行われてきた(そして現代でも形を変えて行われている)悲劇をこれでもかと見せつけてくる。

アーネストがモーリーを彼なりに愛していたのは本当なんだろう。でもそれは対等な夫婦関係などではなく一方的なもの。そして妻に毒の注射を打ち続ける。打つのを止めるという選択肢が彼にはなかった。アーネスト自身もモーリーに打つ注射の中身をインシュリンだと思い込もうとしていたのかもしれない。思考停止と閉塞感の中で理性や正しさをも失う状況は、いつの時代でも起こり得ることなんだと思う。
ゆきゆき

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