お話探し

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのお話探しのレビュー・感想・評価

3.5
長期に渡るとはいえ、一応(一つの事件)に絞った話だった為か、「アイリッシュマン」より集中して観続けられたかも。そして陰惨な非道い話…だけど、ところどころ笑っちゃう、面白い・興味深いドラマとして、結構楽しめました。

前作のデニーロの役どころをどうしても連想させる「自分では何も判断しようとしない」バカ男・アーネストを、ディカプリオが熱演。事前に知識ほとんど入れずに鑑賞した為、前半は『バカでダメな奴だけど、叔父と違って“邪悪”…ではない、よな…?』『でも、こいつもここの邪悪な磁場に毒されちゃうのか…? 毒されちゃうのか…?』という興味が牽引力に。

しかし案の定、あっさり毒されてしまってからは、ひたすら胸糞悪い“搾取”が横行する中盤。表向きは「私はオセージ族の友人だ! 味方だ! 力を貸すぞ!」と宣い、その実、動物程度にしか見なしておらず、オセージ族を食い物にしている黒幕ビル・ヘイル。こちらは少しばかり前作のジョー・ペシを思わせ、年間ベスト(ワースト)級の悪役ぶりをデニーロが魅せてくれている…のですが、彼が汚れ仕事を任せる(駒)たちが、アーネスト含め「馬鹿」「雑」な連中ばかりで、事あるごとにビルを苛立たせる展開がコメディとしても優れており、腹立たしくもありつつ、ついつい笑ってしまいました。

そして(作中では)真っ当な正義・FBIが登場する後半。正直、アーネストが逮捕されてからは『もーちょいペースアップしてくんないかなぁ…?』と思わなくもなかったのですが、最後の最後に見せられた、アーネストの「裁判の証言で零した本音」と「奥さんに差し出せなかった真誠」のコントラスト。惨めで情けない“人間らしい”着地に、ちょっと泣いてしまいました…。
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