ぴんゆか

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのぴんゆかのレビュー・感想・評価

3.6
Oppenheimerといい、今年は史実に基づく良い作品が多かったように思う。

他の被差別民族に比べてネイティブアメリカンについてはあまり多くを語られていないように感じていたのでこんな歴史があったのかと愕然とすると共に忘れ去ってはいけない歴史を新たに広めてくれて有難いという感想。

何より、「ネイティブ・アメリカンは野蛮でcultivateされておらず、金銭の使い方も分からないため、他の人間に管理されなければならない」という言論が存在したというのだから悍ましい。

一方で想像力に乏しい人間はその乏しさあまり、その事実に気がつくことがないので本人はある意味幸福なんだろうと今作のLeonardoの役を見て改めて思った。

彼の演技の腕の良さゆえに、彼の役どころが本当に悪意をもって行動しているのか、はたまた単に考えの浅い人間なのかが曖昧で、受け手も思わず感情移入してしまいそうになる。
だからMollieが日に日に窮地に追いやられても彼を切るに切れない、憎みきれない心境も想像に難くない。

実際は、Mollieの家族をはじめとする60人以上が殺害、Mollieの母親も毒殺されているらしいので恐らく計画的な殺人ということになるのだろうが、上記のように錯覚させる演技力はお見事だと思った。

最後の喜劇じみた解説までが皮肉に富んでいて、作品としては最高だが、実際の登場人物たちの子孫や関係者はどのように思うのだろうかと考えたら、やはりハリウッドはショービズであり、そのような配慮は決してないのだなと実感した。
ぴんゆか

ぴんゆか