ごい

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのごいのレビュー・感想・評価

3.9
今作は1920年代初頭のオクラホマ州が舞台。実際に起きたオセージ族の富を巡る白人ビジネスマンの悪行と悲劇を描いている。
上映時間は3時間半あるから体力は要るが、全部必要なシーンだから退屈はしない。

キング牧師が「I Have a Dream」を語ったのが1960年代ということからもある程度察することはできるけど、90年代前半ですら先住民族や有色人種が虐げられていた現実は受け入れがたい。今でも社会運動が落ち着くわけないのがよく分かる。

本作ではこの事件をスコセッシらしく悪役視点で描いているところが興味深かった。到底感情移入できない人物を中心に観るのは地獄のようだが、それでも観てしまうのはスコセッシの力を感じるし、お得意のマフィア映画と共通しているところがあるからかもしれない。

デ・ニーロの圧倒的な強マフィア感を下支えに、ディカプリオのダメ男演技の精度が際立つ。ひたすら傷つけているくせに妻が大事だとか寝ぼけたこと言ったりして独善的で最悪すぎるんだけど、ディカプリオのビジュアルや話し方が故に観てるこっちまで騙されそうになってしまうのが恐ろしい話だ。それと対峙するリリー・グラッドストーンの静かながら強い感情表現は本当に素晴らしかった。
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