うりた

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのうりたのレビュー・感想・評価

3.9
3時間半という長さに気が引けて一度は劇場公開を見送っていたが、アカデミー賞ノミネートで凱旋上映があり、やはり観なくては!と思い直し映画館へ。

スコセッシは人間の業の深さを容赦なく描くのが本当にうまい。人の欲深さは果てしないことを嫌と言うほど思い知らされる。
ディカプリオ演じるアーネストの意志薄弱ですぐ人に流されてしまうどうしようもない性格がなんとも滑稽で、最後の方は笑けてきてしまった。
ロバート・デ・ニーロの善人っぽいけど頭では何考えてるかわからない底知れなさの演技も、やりすぎてもクサいし、すごく絶妙なバランスでキングの狡猾さを滲ませていたと思う。
とにかく二人の演技が見事。

スコセッシはこれまでの作品でも一貫して神の存在を問うていたが、今回も悪事を働く人間が祈りを捧げるシーンがあった。
赦しとはなんなのか?神とはなんなのか?という疑問をやはり今作でも(メインではないまでも)考えさせられことになる。
しかも今回は先住民たちが元々信仰していた宗教があり、それが白人たちの価値観や宗教によって塗り潰されているという背景がある。
オセージ族に限らず、世界中の先住民族たちの苦しみが伝わってくる映画だった。

アメリカの石油ビジネスって闇が深いよなぁ…また『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』も見返したくなった。
うりた

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