ナポレオン政権下のフランスの片田舎。政権と敵対する考えを持つ男達は村から根こそぎ連れ去れられ、女と子供だけが残った。
いつ帰るとも知れない、生きているかもわからない男達を待つなんて、できるはずもない。
毎日を生き抜くために働きづめの女達。女だらけで息苦しさを感じる毎日に男がやってきたら、浮き足立つのも当然。
手の綺麗な男ってことは鍛冶屋じゃない。きっと逃亡者ね。と、わかるのだが、隔絶された集落で暮らす女達はそこは追求しない。
そりゃそうだ。時は収穫期。男手が必要だった村に留め置かなくては。
娘達の心中とは裏腹に留め置くよう長老から指示もでる。
淡い恋から愛へと変わる気持ち。
しかし、それは終わりが来るのです。
物語中、娘は好きな作家はユゴーだと言う。あぁ、そうか。と、思いました。罪を負ってさすらう男なんですね。ジャンは。
種蒔く人っていう意味のタイトルなんですが、いろんな意味で捉えることができます。
そして、なんとも美しい、風景のショット。室内の陰影と色の美しい画面。女達の衣装がまた、素敵です。素朴なのですが、オシャレ…。
女性監督の、というのも語弊があるのですが、繊細な物語です。
ちょっとした仕草や表情のきめ細やかさが物語をより、美しく見せます。
でも、その中に人間のエゴがぐわっと出ているシーンもちょいちょい。ただ、綺麗なだけではない、作品です。これは何度も見返す事で、更に感じ取れるのだと思います。