リッジスカイウォーカー

幸せへのまわり道のリッジスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

幸せへのまわり道(2019年製作の映画)
4.5
素敵な作品に出会いました。
これだから映画はやめられない。

トム・ハンクスの演技が素晴らしい。
とにかく最初から引き込まれる。
一体この人はどういう人なのか。
実在の人らしいが、日本人には全く馴染みがないです😅
きっと馴染みのある人なら、より楽しめるんでしょう。

人を許すとはどういうことか。
怒りになぜ捉われるのか。
感情をコントロールすることの大切さ。
感情に向き合うことの難しさ。


怒りの感情は6秒間我慢すれば収まっていくと言われています。

なぜ自分は今、怒っているのか。
その怒りはどこから湧き上がってきたものなのか。
アンガーマネジメントは、その怒りを冷静に対処し、その感情を人ではない何かで発散したり、体を動かすことで無心になったり、そういった努力が必要だと説く。


私も若い頃はいろんな怒りが爆発していた時があった。
この感情は本心だし、相手にわかって欲しいからありのままをぶつけていた。
だから良いものであると思っていた。

ただそれって多くは良い方向にはいかない。
逆に自分の首を絞めることが多いし、心を痛めることにも繋がる。
結局怒りをぶつけ合うことはエゴとエゴのぶつかり合いに終始し、わかり合うことはできない。


その怒りは適切なものなのか。
喉元過ぎてから、真意を確かめることが大事。
相手の気持ちを汲み取ることができれば、自ずと湧き上がっていた怒りは、違う感情へとシフトできるはず。

本作は演出も素敵で、移動や風景はジオラマで表現されている。
テレビという虚構を巧みに使い、現実と深層心理の対比を醸し出せていると感じる。


深刻な事実に向き合うのは誰だってしんどい。
でもそれが人間の理だ。
最後のシーンの近くでそう説くトム・ハンクス。


いつまでも怒りに捉われているのは虚しい。
許し合うことの大切さ。
分かりあうことの尊さ。

誰だってわかってるはずなのに、実行に移すのは難しい。


本作はきっと観た人全員が、人生の中で許せないことがあったことを思い出すでしょう。

そして映画の中にあるように、その感情に捉われず、1分間大切な人のことを想う。
感謝する。

なんかそれだけで、世界は美しくなれるのでは?


感情に流され、許すことができないのは、不幸なこと。ということに気づける。
気づくことができれば、きっと新しい一歩が踏み出せる。

そう、この主人公のように。