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ベルベット・バズソー: 血塗られたギャラリー​のJIZEのレビュー・感想・評価

3.6
死んだ画家の意向を無視して儲けようとした連中が地獄に突き落とされる話。構造は海外ドラマ型の怨霊系サスペンスで画廊の商売人たちが目先の欲望に溺れその餌食となる。格調高く洗練されたアートの作風の裏側にはクリエイターたちの悍ましい叫びが封じ込められているのかも。本作では有名な批評家を病的憑依型の怪優ジェイク・ギレンホールが商売根性を剥き出しに異彩を放ちつつ演じていてそこだけでも十分元が取れるのだが資本主義の側面を抜きに出した社会的な影が見え隠れする作品でした。

実際100の品を簡単に0へ品定めするなど言葉一つで価値を崩壊させたり巧みな話術で無自覚に過ちを繰り返す批評家たちが後半で制裁を受けるスタンダードの体裁を取るのも痛快。事実の真意に迫る主軸の謎解きはドキドキしながらも最後まで一気に観ていた。消費され続ける現代アートに対して自分の目で確かめてしっかり見ないと。テキトーに価値を判断する批評家たちへの痛烈なる風刺作だった。逆を返せば在り来たりな題材だが果たして高いものが本当に優れたものなのか…考えさせられる映画でした。
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