ベビーパウダー山崎

108~海馬五郎の復讐と冒険~のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

2.0
映画としては論外で、コントとしてはナイーヴ過ぎる、AVとして見ても抜けないし、ポルノ(映画)の括りにしてはセックスを舐め腐っている。それでも、その無駄な100分を松尾スズキの「表現」として俺は受け止めたので、誰にも勧めないが、今さら触れておいて良かった。『クワイエットルームにようこそ』もそうだが、おそらく自伝的な要素に、その延長としての「妄想」で物語を繋げている。
大人計画の『エロスの果て』だったかで、なんでもかんでも男とヤりまくって存在を壊していく(新たな自分を発見していく)的な異常なキャラクターを描いていたような気がするが、現代の表現で「セックスで堕ちていく」という中心は既に相当ズレている。まあただ、「陰茎と陰部に負の物語を背負わせる」90.00年代のサブカル表現の残党として、松尾スズキあたりが最後に旗を振りながら沈んでいくなら、それはそれで見守れる範囲だとは思う。自分で主演して、自分で汚したケツはしっかりと拭こうとはしているし。
それにしても、妻の浮気は殺したくなるほど許さず、俺の遊びは好き放題で、表現者の権力使って結局は女優の卵と寝てるし、女性の表現は男の影響だろ的な台詞も平気であったりして、どこを切り取ってもネットで燃え上がりそうだが、まったくの無風なのはこんなの誰も見ていないからで、巡り巡って演劇畑の内向きな異様さはよく伝わってくる。