♪ GO!! Fuck up! Go fuck yourself!
Lift up your middle fingers.
乾いた過激。
題材はフィリピンの麻薬戦争。
極力まで音楽や台詞を排除。
積み重ねる独特な視点の映像。
突き刺さる刺激。
狭い階段。薄暗い部屋。
ゴミの向こう側にある居住スペース。
彼らが住む場所は実際に存在するのだろう。
圧倒的なリアリズム。
貧困層は紙おむつもバラ売り。
裕福な立場に居れば富は増える一方。
社会的な地位も向上し続け、未来予想図に笑顔が零れる。
まるでこれはドキュメンタリー。
特定のモデルはいない?嘘だ。
使われるだけ使われて捨てられるゴミのように、いやゴミならば悲しみを抱かないゴミならば泣くものはいないゴミならば…。
だから、憎むべきは犯罪でも麻薬でもなく。
この社会を構成する要素。この枠組みが変わらなければ、命が命が命が。散っても切れても弾けても。何も変わることなくマンゴーの中に覚醒剤が埋め込まれて1㎏幾らで売り買い成立毎度ありと言われて終わる刹那の光。
この荒廃した現実から目を背けるな。
待ち受ける暗い未来に背を向けるな。
一握りの勝ち組。大勢の負け組。
それを分かつ線は正しいのか間違っているのか考え続けろ手を動かせ足を動かせ指を伸ばせ。監督さんは雄弁に語るよりも映像を突き付ける。
まあ、そんなわけで。
“自己責任”という言葉に浮かれる前に観るべき作品。
食物連鎖のように命はグルグルと廻り続けるわけで、そこに勝者も敗者もなく、誰もが誰かに食べられるのが必定だから、一瞬の快楽を求めて他者を踏みにじれば、気付けば自らの命もひらりひらりと便所に散る花弁のように。
なお、娯楽要素はかなり低いと思われ。
B級映画大好き映画雑誌で目にしたため「血飛沫肉片バイオレンスうきききき」な作品だと思って臨んだのは大きな間違い。勿論、悔やむべきは己。血反吐とともに座して反省いたす。ごーん。