人と人とが出会い共感して同じ時を過ごすようになる。
でも時間はそれぞれを同じままではいさせない。
やがて相手を思いやりながらもズレが生じ傷付けてしまうようになる。
そしてまた新たな人と出会う。
人生の中で同じ地点にいられるのは一瞬だけなのかも知れない。
『空の瞳とカタツムリ』を観た時、不思議な痛みを感じた。
鋭くも歪な、硬く柔らかく、細く太い、そんな針がゆっくりと突き刺さってきた。
夢鹿、十百子、鏡一の三人の針が別々の方向から入ってきて、心の深い一点で交差したような気がした。
そして今も抜けないままそこにある。
触れることの大切さ・難しさ、触れた時の愛おしさ・もどかしさ、鏡一のしていた手袋がそれを象徴しているように見えた。
出演者の覚悟、作る人たち本気度が感じられ、それがいくつもの奇跡を起こした映画。
観ればきっとその奇跡を感じられると思います。