高橋典幸

空の瞳とカタツムリの高橋典幸のレビュー・感想・評価

空の瞳とカタツムリ(2018年製作の映画)
4.0
映画「空の瞳とカタツムリ」(2019/斎藤久志監督/R15)を池袋シネマ・ロサのスクリーンで鑑賞しました。切ない恋愛物語。しかし、その先にきっときっと希望があるのだろうなぁ。上映後は、舞台挨拶トークイベントに参加しました。

4人の男女の物語。それぞれに秘めた思いを寄せ、悩みを抱える4人、夢鹿(むじか)、十百子(ともこ)、貴也、鏡一。ゆったりとした描写でじっくりとそれぞれの心情が描かれます。

夢鹿役の縄田かのんさん
虚無感という穴を埋めるための行動や強がった言動が切ない。しかし、そのことで人知れずの危うい心のバランスを保とうとしてたのかなぁと。終盤の十百子との公園のシーン、モノの整理のシーンが、心に沁みました。個人的所感です。縄田かのんさんは、そんな夢鹿を見事に見事に体現されていました。いくつかのシーンの中での撮影秘話も披露してくださいました。トークイベントでの役者としての演技への取り組みの日々の努力をお聴きししびれました。

十百子役の中神円さん
ある時から潔癖症の十百子。冒頭のシーンからその状態がわかるシーンが描かれていきます。中神円さんは、そんな十百子の繊細な心情を見事に体現されていて魅入りました。夢鹿からの破天荒な提案に従順に従おうとする十百子。頑張ったよなぁ。そんな十百子の公園シーンは音響の迫力もあいまってビクッとしました。

ボビー中西さん
BNAW代表・演技講師
BOBBY NAKANISHI ACTING WORKSHOP
トークイベントでは、演技について、演技の日々の訓練の重要性についてお話下さりました。ロビーで書籍「リアリズム演技〜想像の設定の中で真実に生きるためにニューヨークで学んだこと」(ボビー中西著)にサインをいただきました。演技について、読むのを楽しみにしております。

製作の松枝佳紀さん
日本の役者の演技の質についての憂いをトークイベントでお話されていました。今後の日本映画への大切な要素となる役者の演技。その技術は訓練の積み重ねが必要。ボビーさん、縄田さんの体験談のお話と共に心に残リました。

池袋を散歩してて、何気に池袋シネマロサの前を通り、最近は何を上映してるのかなぁと本日の上映を紹介する看板を見て、作品について何の前情報もなく、ふらっと当日券で観た映画「空と瞳とカタツムリ」。本当に良かったです。

劇場パンフレットを読んで余韻に浸っています。
高橋典幸

高橋典幸