クドゥー

ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへのクドゥーのレビュー・感想・評価

3.0
『目覚めた僕たちは、どこへ向かうべきだろう』

愛した女性の面影を求めて故郷の街をさまよう男の夢と現実を描いたビー・ガン監督作品は、サスペンス的には一番いいところでいかにも中国映画然とした3D映像に切り替わり、彼が着いた旅路の果てを観客の主観体験とするノーカットワンショットトリップムービー。

本来ならばカットやショットによって紡がれるのは夢で現実にこそトリップを使うべきだが、脈絡のない文脈や記憶の再現のような体験は僕たちが普段観ている夢そのものであり、報われなかった想いがそこでは果たされることを昇華と見るべきか代償行為と見るべきか。

哀愁漂う姿だけで観客を釘づけにするホアン・ジュエの存在感に作品全体が引っ張られるが、ヒロインを演じたタン・ウェイの「ラスト、コーション」から変わらない美貌に驚き、夢を夢のままにせずこの二人のノワールな結末を見届けたいという気持ちになってしまう。
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