消々

ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへの消々のレビュー・感想・評価

3.0
「夢だ」と思って見ている夢を、観客である私達も「これは夢だ」と思いながら傍観する。
ある意味、劇中劇のようで、どこまでが主人公の夢(または記憶)なのか、どこが彼が物理的に存在する現実なのか。その境は曖昧。その雰囲気を、雨に滲んだピンクのネオンや、雨漏りか地下水が漏れるのか、水が這う洞窟、始終じめじめした凱里の大気などが助長する。
そうして、凱里は現実の土地というより、空想上の場所へ昇華される。
ビー・ガンの、理解とか解釈を超えて全体を雰囲気で語り、観客にまるごと抱えさせる感じ。短編の「金剛経」も前作の「凱里ブルース」もストーリーラインがあるようで、無い。無いようで、ある。好きな雰囲気なんだけれど、正直似たりよったりなので、彼がこれからどんな映画を撮っていくのか、追いかけたい。
消々

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