タケミ

ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへのタケミのレビュー・感想・評価

3.1
1ショットのなかで時間が延長されることは迫真性、臨場感の演出に寄与するのだと思っていたけれど、映画史に刻まれる長さの本作の後半をまるまる構成する異形の1ショットでは、カットが長引くにつれて演出の作意が前景化するという不思議な体験をした。
抱き合う二人がぐるぐる回るシーンとか、足場を必死になって回すスタッフの姿を想像しながら見てた。
非現実感、という意味では、ビー・ガンの意図通りなのか。

そんな過剰に構築的な一方で、これは脚本には落とし込めないだろうなと思えるような、つまり現場でのインスピレーションでつくられただろうショットも多い。これがそうなのか分からないけれど、テーブルの振動でグラスが落ちていくショット。シークエンスの切り方として斬新でしびれた。こんなことでも起きないとカットを切らないという、後半の1ショットへの布石だったのだろうか。
そんなきらめきに満ちたイメージをつなぐ予告編映像がなんとも魅力的。
タケミ

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