イクミナ

ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへのイクミナのレビュー・感想・評価

5.0
ごちゃまぜ物まね映画かと思いきや、傑作。
『この夜の涯てへ』より原題の『イン・トゥー・ザ・ナイト』の方が、この映画のカンジですね。最初、映画館の音のレベルが大きすぎるのかと思ったが、これはそのような音場設計だったようだ。音が状況説明しているし詩情豊かにしているし、抒情、郷愁、それらを増している。セリフ回しが村上春樹の小説のようだなと思い、これは失敗だったかなと思いきや、60分長回しに入り、夢のフィールドに入りワンカット映画特有の体験型映画、夢の中をさまよい輪郭をゆき、居心地が良かった、もう一度見たい・いや。行きたいというべきか。
 タルコフスキー映画のコップや、水や、リンゴや、あからさまな真似が出てきて笑ってしまうくらいだが、これがいいのだ。村上春樹のパラレルワールド、『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』『ねじまき鳥クロニクル』『1Q84』の世界観あり、『千と千尋』の夢の世界があり、侯孝賢、エドワードヤンの郷愁、原風景あり、豊饒な夢の世界だ。夜、ロープワークで夢の世界に降りていくシーンは、圧巻。たゆたい、なつかしく、ここちよく、われも、じかんもわすれて、たのしめた。

 アザミ嬢のララバイの。冒頭部分が、あんなにノスタルジックに湿った音だったとは。
イクミナ

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