安堵霊タラコフスキー

ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

4.7
カンヌ映画祭のある視点部門で紹介されてから何故か気になっていたこの映画と監督のビー・ガン、実際見てみると映画自体中々良かったのよりも同じ監督を尊敬する才能ある人間を見つけたことが喜ばしい出来だった。

というのもこの映画、思いっきりタルコフスキーをリスペクトした作りとなっていて、タルコフスキー名物の長回しや水のモチーフの使用は勿論のこと、振動するコップやトロッコ等ストーカーをオマージュしたシーンがあったり時系列をシャッフルして断片的に話を展開する鏡のような構成になっていたり、ファンならよくわかるタルコフスキー的要素が数多く見られて面白かった。

しかもただのオマージュに終わらず再現度も凄まじく、映像や構図からタルコフスキー的質感がひしひしと感じ取れる様はまさに中国でタルコフスキーが蘇ったようにすら思えて、その才能に感嘆せざるを得なかった。

後半はとある事情で疲労感が蓄積されてしまったけど、こんな好みにどストライクで良質な映像美を提供してくれる監督ならこれまで以上に注目したくなる。(というかタルコフスキー的な映像が好きなのにそういうのを取る才能の無い自分の分も彼には頑張ってほしいし応援したい)

しかし今回、色々謎の多い描写も目立った中で一番不思議だったのだが、何故この映画のテーマ曲に中島みゆきのアザミ嬢のララバイを使用したのだろうか?