QTaka

お嬢ちゃんのQTakaのレビュー・感想・評価

お嬢ちゃん(2018年製作の映画)
3.5
空気を読まない
意見を曲げない
同調しない
感情を隠さない
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普通の映画なら、起承転結の”起”
三幕構成なら、一幕目
主人公の為人、環境、人間関係、そしてドラマの始まり。
この最初の部分は、物語の大切なパートなのだけれども。
その部分だけで物語が成り立つなんて誰が思っただろう?
この映画は、もしかするとそれをやっちまったのかもしれない。
そして、見事に魅了されちまった。
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女の子(美少女と言ってイイ)が過ごす夏の日々。
あまり笑わない。
むしろ、不機嫌。
ノシノシと、肩で風を切って歩く。
でも、華奢な体つき。 
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カメラはこの子をフォーカスし続ける。
他の登場人物は、ほぼフォーカスアウトされる。
始まりは、彼女の姿だ。
そして、彼女がどう感じ、どうするのか。
締めも、彼女だ。
それがこの物語なのだから。
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途中で気付くのだが、
物語を通じて、起こった出来事、人々を、後々回収しない、拾わない。
出来事も、人々も、使い捨てのストーリー展開。
この潔さというか、清々しさと言うか。
ここにリアリティーを感じた。
日常生活って、そんなに繋がっていないから。
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”ワンシーンワンカット”しかも”手持ち”
確かに、この長回し、手持ちカメラが、鑑賞者をその場に引き込んでくれる。
リアリティーとは違うかもしれないけど、鑑賞者の”居場所”を明確にしてくれる気がする。それは、とても心地よい。
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この物語を成立させているのは、もちろんキャストの妙だろう。
主演萩原みのりさん、がんばりましたね。
監督の二ノ宮さんの視点にばっちりはまったんでしょう。
始めに、”一幕目”のみの映画と言うようなことを書いたけども、実は最後落とし所がきちんと合った。
この物語、きちんと成立していたんだね。天晴れ。
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このパターン(ただ一人にフォーカスして掘り進むのみ)で、別作品って可能なんでしょうかね。
『おばちゃん』とか『おっちゃん』『お兄ちゃん』なんて…
ちょっと悪乗りですかねぇ〜
QTaka

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