プラトニック

惡の華のプラトニックのレビュー・感想・評価

惡の華(2019年製作の映画)
3.2
原作に割りと忠実なのに原作ではそこまで気にならなかった小っ恥ずかしさを感じてしまうのはなぜか。それは俳優の演技力どうのこうのではなく、そもそも実写化すべき作品、トピックではなかったんだと思う。漫画「惡の華」のような思春期の閉塞感たっぷりな鬱屈した心理を最初から映像で描きたかったらこんな脚本、演出にはならないんじゃないかな。漫画の実写化という事に引っ張られて映像でこそ表現できる演出がおざなりになっているように感じる。小説や漫画の強みは音が無い事で、音が無いからこそ紙上で描かれる音は読み手にとって一番しっくりくるテンポや音色で脳内再生される。だから実際耳にすると恥ずかしくなるような小説や漫画のクサい台詞や行動もコマ割りや情景描写次第で読めるモノに昇華されるんだろうし。ただ実写化するんじゃなくて漫画で描かれてる事象を映像に置き換えた上で映画を作ってほしかったな。原作がせっかく強いのに俳優を愛でるための映画で終わらせてしまうのはもったいない。映画のジャケットデザインを見た時点でそんな予感はしてたけども…。