さく

キングスマン:ファースト・エージェントのさくのレビュー・感想・評価

2.0
大好きな『キングスマン』シリーズの新作ということで、今年の締めに楽しみにしていたのですが、私はちょっと乗れませんでした…

以下、ネタバレを含みます。
結構酷評に近いので、本作お好きな方は読まない方が良いかもしれません。

今回は戦争(WW1)を下地にしているのですが、どうも脚本が安っぽい気がします。これまでの『キングスマン』作品にしても『キック・アス』にしても、良い意味でのキッチュさがマシュー・ボーンの魅力だったと思うのですが、中途半端に戦争を描いたことで、悪い意味でキッチュな作品になってしまったように感じます。

例えば、松本人志が『大日本人』みたいな路線でいけばまだ良かったのに、変に勘違いしたような『しんぼる』を撮ってしまって極めて薄っぺらい作品になってしまったのに似たものを感じました。

「俺だってスピルバーグみたいにエンタメだけじゃなくて社会派映画だって撮れるんや!」と変に意気込んでしまったのでしょうか。あるいは映画監督の性として戦争映画を撮りたくなってしまうものなのでしょうか。それぞれ好みはあるので、だからダメとも言いませんが、私がマシュー監督に期待しているのはこういう路線ではありません。

唯一、ラスプーチンの存在だけは輝いていて、これぞマシュー・ボーンといったキャラ造形で楽しませてくれましたが、他のヴィランの存在感が無さすぎます…エンドロールに被せて出てきた例の人も、この手の作品の演出としてはあまりにもチープ過ぎます。

物凄くひどい言い方をすると、あまり教養が無い人がちょっと背伸びして頑張って社会派作品作ってみました感が「その人」の登場シーン含めて漂ってしまっていて萎えます。いや、実はWW1を無茶苦茶勉強した上でこういう俗的な撮り方をしているのかもしれませんけど、仮にそうだとしても、タランティーノみたいなセンスがあまり感じられずダサいように思う。こういうところが松本人志作品に似てると思うのです。

ここから先は私が見落としていたり、読み取り不足かもしれない内容です。

あと、キングスマンチーム結成に至る前日譚としても、「いまいち関係なくね…」と思えてしまいました。敵の目的も釈然としないところがあり、「悪い意味でワイルドスピードっぽい」。戦場で、あんな場所で何故あのおっさんが機密情報を取得できたのかも謎。ここら辺のちょっと雑な感じも、これまでの作品のように最初から目線を下げていれば「まぁ、細けぇこたぁいいだよ! 楽しければ!」と流せていただろうけど、変に戦争などを絡めて高尚な路線にされると、粗に見えてしまいます。

好きな監督なので、次回作に期待したいです。
さく

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