やんげき

キングスマン:ファースト・エージェントのやんげきのレビュー・感想・評価

-
ドラマチックなバトル作品を描いたら最強の監督マシューボーンが、真面目に撮った作品でした。

キングスマンといえば、教会殺戮ダンスナンバーや首チョンパ花火、人肉ミンチマシーンのようなやり過ぎシーンが一つの特徴だったのに、本作はなかったなぁ。

得意先のご家族の葬儀に参列したら、故人の親族が軒並みハゲてて笑っちゃいけない場なのに笑える。みたいな笑いがほしかったよ。

とはいえ、ww1の戦場で人が木っ端のようにバタバタ死んでく様は本当に凄惨で、直視に堪えない。それこそ「1917年」のシリアスさと、「ダンケルク」のようなキャラクターの匿名性があって、リアルな質感を感じた。
さらに、細かいものから大きなものまで、ヒューマンドラマがアイスにまぶすカラースプレーのごとく散らしてあって泣ける。

けど、こういう時こそ、気の利いたトリビアセリフを挟んで、旨辛ごぼうチキンのサンドイッチみたいな絶妙なテイストにしていらしたのに、今回はカレーパン!肉も中のソースも美味いけど、王道の1番人気じゃん。って感じで、どうしちゃったの…真面目かよ。って少し寂しくもありました。

とはいえ、今回のエスタブリッシュ(主に皇族、貴族)を徹底的に無能に、給仕の人々の有能さを描くさまは、1から続く「人の価値は生まれでは決まらない」メッセージを色濃く感じさせました。

けど、1番良かったシーンは?と聞かれるとキングスマンみがあるラスプチーン戦を除くと、ww1の前線シーンです。カレーパンも美味しく作れる人でしたねマシューボーンは。
やんげき

やんげき