KnightsofOdessa

ザ・ピーナッツバター・ファルコンのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

2.5
[これは美化されたステレオタイプにはあたらんのか…?] 50点

メンバーの少ない『リトル・ミス・サンシャイン』といった趣のロードムービー作品で、黒人脱走奴隷とともに川沿いを旅するハックルベリーの旅路に似ているとも言われる。前者はバラバラだった"家族"が明白なゴールに向かって団結していき、ラストに"ステージ"を用意するあたりめちゃくちゃ意識していることを伺わせる。また、ダウン症の主人公ザックに対して、どうしようもない漁師タイラーが全く気にしない態度で受け入れ、良い奴悪い奴という二元論で語れない世界を体現する。明らかに"純真信仰"的なステレオタイプ化をし過ぎな気もするが、昨今の"マイノリティであることを恥じずに生きる"というメッセージは十分伝わった。

タイラーとの出会いと接近を丁寧に描いた前半が素晴らしい反面、エレノアが加わって以降の展開が前半よりもヌルい気がした。そりゃザックとエレノアは知り合って2年だろうけど、我々はエレノアのことなんざ知らんわけだし、タイラーと同じくらい丁寧に描いたら、彼女がザックに"同情"して"管理"しようとしていたのに対してタイラーは友人として夢を叶えてあげようとするという対比もクリアに描けたんじゃないか。

何度が登場する上空からの神視点ショットとバンジョーの鳴り響く虚しい劇伴が良い。
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