真っ黒こげ太郎

L.A.スクワッドの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

L.A.スクワッド(2020年製作の映画)
3.8
「家族の為に―――生きる!!!」
「家族の為に―――死ぬ!!!」
「家族の為に―――殺す!!!!!!」

血濡れの世界で生きる、ギャング達”家族”の生き様。




カリフォルニア州ロサンゼルス。
その町のギャングは、売り上げの30%をリーダーである大物ギャングのウィザードに納税する義務がある。
(当然、納税できない奴がどうなるかはお察し。)

デヴィッドとクリーパーの仲良しワルワルコンビはウィザードの下で一銭も漏らすことなく金の取り立てと徴収をキッチリとこなしていた。

だがそんなある日、ウィザードの敵対勢力であるコネホがロサンゼルスに舞い戻って来た!!!
やがてウィザードとコネホの壮絶な戦いに、デヴィッドとその家族も巻き込まれてしまい…。




ギャング団の税金を徴収していた男2人が、敵対勢力の戦いに巻き込まれる、バイオレンス・アクション・スリラー。
「トレーニング デイ」の脚本や「フェイク シティ ある男のルール」等を監督したデヴィッド・エアー監督の最新作。

しかし、そんな有名監督の最新作ながら、あちらでは大コケ&酷評され、あえなくビデオスルーの刑に。
しかも、エアー監督が思うように作れず失敗し、リブートで思うように作られて成功した某シリーズの劇場公開と同時期にビデオレンタルが開始された!

…邦題は恐らくその某シリーズに掛けて付けられたんだろうが、今となっては皮肉でしかない。
あっちは劇場で大称賛され脚光を浴びたのに、こちらはレンタルビデオ屋の隅っこでボロクソに貶されて…もう悲惨を通り越して生き地獄だな…。

まぁ、どんな有名監督でもビデオスルーになるという事は、それ相応出来な可能性があるって訳で、こちらも結構な駄作を覚悟の上で鑑賞。



まぁ、確かに地味で大衆ウケはしなさそうだけど、思ったよりはマトモな映画でした。
少なくともアルバ系列が出すのC級ディザスターやThe Asylum作品とかよりはよっぽど見どころはあります。
(比較対象がおかしいのは言うな。)

まぁ、前半は借金取り2人の日常を淡々と流し、後半のギャングと戦いもリアル重視な場面で地味だし、アクション自体も少なめで、全体的に低予算な感じも否めない。
メインの銃撃戦等は相変わらずリアル感はあるが、今回は予算不足が前面に出てしまった感もある。
クライマックスの戦いは壮絶だけど、柔道の訓練の伏線も余り上手く活かせてないし…。


しかし、前半の借金取りのお仕事展開からの後半の血みどろバイオレンス展開へのメリハリは上手く、どちらもそれぞれに見どころがあったので地味ながら飽きずに見れた。

前半は借金取りコンビの日常だが、その描写はほのぼのとは程遠い。
まぁ、ギャング団の借金取りな時点で、サツバツな内容なのは当たり前な訳で。
主人公2人が売り上げを問題なく徴収できるシーンは日常感出てるが、そうじゃない取り立ての場面ではお互いのバイオレンスな面が容赦なく顔を出す。
クリーパー役のシャイア・ラブーフさんの演技もおっかなく、実にヤバい借金取りを好演。
あんなヤバい連中にはどんだけ貧困に陥っても絶対のお金を貸せませんな…。
信心深く家族を持つデヴィッドと神を信じず任侠の世界に生きるクリーパーの差に、監督自身と某監督の違いを写してるようなのも印象深い。
(中盤のパーティー会場での掛け合いとかそれっぽい)


前半こそマッタリ目な日常メインだが、主人公の家族が次々と凄まじい勢いで巻き込まれてしまう後半の展開は実に容赦ない。
この監督の作品では「フェイク シティ ある男のルール」が記憶に新しいが、あれ以上にさっきまで命だったものが辺り一面に転がりまくる壮絶な展開。
クライマックスの戦いも展開の関係でしっかり盛り上がります。


まぁでも、過去の派手な大作に比べると地味&低予算だし、盛り上がりに欠ける面や微妙に思う面もチラホラ見受けられるのも否めないかな…。
よくよく考えればストーリーも「抗争に巻き込まれたギャングの借金取りが敵ボスと戦う」というシンプルすぎるお話の割に纏まってないし、見せ場にできそうな場面の見せ方もアッサリしてるし…。


それでも監督がベテランな人故か、地味なりに案外見どころはあったので、予想してたよりは楽しめましたね。
まぁ、期待値上げすぎてもアレなんで、ラズベリー賞絡みの映画として見るのがベストだと思われ。