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L.A.スクワッドのTLsのレビュー・感想・評価

L.A.スクワッド(2020年製作の映画)
4.4
LAのアンダーグラウンドを現代的に描いた作品。予算の無さが目立つが、世界観の作りこみは流石だと感じた。

アンダーグラウンドの世界と今私たちが使っているテクノロジーを上手く組み合わせている描写が多く好印象。実際のアウトロー達も最新技術を駆使してハスリンしていると思うが、この映画では惨い拷問の後にスマホのロックをパパっと解除させたり、ギャングのボスがベッド上でせっせと為替取引をしたりと少しギャグシーン的な使われ方をしたり、電話ではなくテキストメッセージを使っているということで、家族に何かあったと確信する描写があったりと、上手く小道具として脚本の中で作用していたと思う。

デイビッド・エアーらしい解像度の高いギャング像は相変わらずで、実名を使わずとも、プリズンギャングがヒスパニック系ギャングの中で一番権力を握っている、shot caller や green lightというような西海岸のギャングが多用するスラングなど、このジャンルを好きな人にとってはたまらない描写が多かった。そして、相変わらずのラップソングやアウトロー達のファッションがさらにこの世界を魅力にしていた。

だからこそ、敵対するコネホにはもっと部下を増やしてほしかったし(彼にはバックに麻薬カルテルがいるという設定)、儀式で人間を生贄にする(為替取引をしていたのは彼)といったブレブレなキャラクター像が少しいただけたなかった。といいつつも、相棒のクリーパーはタトゥー+スーツでかなり危ないキャラクターだったので結構好きだった。

確かに評判が悪いのも納得できるが、少なくともデイビッド・エアーのセンスはまだまだ健在だと感じた。そもそも、この映画のデザインを見るにこれまでのフィルモグラフィにあるような映画を作ろうというわけではなく、彼のネイバーフッドに捧げるための作品だったと思う。これからも麻薬カルテルではなく、ロスのアウトローを描いた作品が日本で見れることを願っています。
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