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ザ・ライダーのcinemakinoriのレビュー・感想・評価

ザ・ライダー(2017年製作の映画)
4.2

フィクションとドキュメンタリーが絶妙に織りなすリアリズム!


素晴らしい!



クロエ・ジャオ監督の徹底的な拘りと繊細さと才能が、鑑賞側の心の中にしっかりと留まる静かなインパクト。
それは、役者ではなくモデルとなる物語の主人公やその家族までもが正真正銘の本人起用というリアリティだからこその賜物だろう。
齎す空気感に創作感や演出感が殆ど感じない故に、限りなくドキュメンタリーテイストなカットとナチュールなシーンによる説得力と画力の次元が違う!

だからこそ、これ程までに淡々と描かれているロデオカウボーイの悲壮感や絶望感、そしてその周りの人々の心情が、彼等の肌に触れているかのように伝わって来るのだろう、、、


マジックアワーと馬とカウボーイ。
大自然でのシーンの全てが絵葉書のような美しさで、そこから伝わってくる風の音や蠅の羽音や草の匂いまでもが漂って来そうな立体感は、クロエ・ジャオ監督の才能とリアリズムの追求による神がかり的な演出と言って良い。


馬と共存する本物のカウボーイ達による馬との対話の全てが尊く、そしてその哀愁が、あらゆる映画の様々な名俳優のソレっぽいシーンをも軽く凌駕してしまうのは必然の好結果だろう。



恐るべし、クロエ・ジャオ。
当然【ノマドランド】も【エターナルズ】も気になってしょうがなくなる。
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