けんたろう

ノベンバーのけんたろうのレビュー・感想・評価

ノベンバー(2017年製作の映画)
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ビシビシアツい愛の焼石に、とろけちやふ御話し。


白と黒の幻想的なる対比。均整の取れた完璧なる構図。恐怖さへ覚ゆるほどに美しき画。而して、機械的なる無言のユウモア。諧謔に富んだ大真面目なる愛。人と獣と精霊とが交はりし神秘的な──然し滑稽なる描写。
お、面白い。フアンタジツクで美しくも、然し何処か可笑しき其の表現に、強く惹かる。

又た、騙したり蔑んだりする、品の無い貧民根性、延いては他を貪り尽くして嘲笑ふ拝金主義者の醜悪さをシニカルに描いてゐるのも面白い。

凡ゆるものが密接に絡み合うた、非常に複合的で、且つ美しく、ユウモラスな一作。
久しぶりに観る新作映画といふのも相俟つて、大へん至福の時間であつた。