しちれゆ

メモリーズ・オブ・サマーのしちれゆのネタバレレビュー・内容・結末

メモリーズ・オブ・サマー(2016年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

ピョトレックと母親の親密で愛情に満ちた世界は母親の不倫により崩壊する。夜な夜な一張羅のドレスに念入りな化粧で出かけていく母と、置き去りにされひとりぼっちの夜を過ごすピョトレック。出稼ぎに行っている父親も全てを知ってしまった。ピョトレックが父親を上手く誤魔化さなかったことに逆ギレして怒り狂う母。恋の悲しさに泣く母に朝食を運び後ろから抱きしめるピョトレック。ピョトレックのマリカに対する淡い思いも並行して描かれる。町の不良たちと付き合い始めたマリカに対して放たれた「アバズレ女はどっかに失せろ、僕に構うな、行っちゃえ!」という言葉は実は母に投げられた言葉である。
ピョトレックは生きることを選んだ。自分の前を列車が通り過ぎ踏切の向こうに再び母の姿を見た時にピョトレックは母親との訣別を終えたのだ。

1970年代ポーランド片田舎の夏の日々や母親のドレスやインテリア全てがノスタルジックで美しい。ピョトレック役のマックス・ヤスチシェンプスキ少年の素晴らしさと共に心に残る作品です。
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