このレビューはネタバレを含みます
"死体が消えた夜" (2018)
"ロスト・ボディ" (2012)
スペイン公開のリメイク版
イ・チャンヒ監督のデビュー作
リメイクとはいえども面白い
サスペンス・ホラー
ミステリー・スリラー
ジャンルの混ぜ合わせは大体
「なんだったんだろ…」
「なにが言いたかったんだろ…」
ってなるけど
この作品はストーリーが分かりやすい上
緻密に練られていて テンポもいい
"殺された妻ソリは生きていて夫ジンハンと学生ヘジンに復讐してるんじゃないか"
というミスリードで
ビタッ!と伏線を張り続ける
ストーリーは時間軸で構成され
20:10→22:50→00:20→01:47→02:51→
03:34→04:10→10:50
深夜から午前中までに起きる激動の夜を描く
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<冒頭>
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国立科学捜査研究院の遺体安置所にて
侵入者により妻ソリの遺体が盗まれる
通常は大学教授である夫ジンハンに
嫌疑がかけられるわけがない
しかし
薬物を使って妻ソリ殺害したことから
何かしらの証拠を残してしまったのかと
ジンハン自身が疑念をもってしまう
ジンハンは限りなくクロだが
遺体は一向に見つからず 証拠も出ない
というサスペンス・ミステリー調
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<中盤>
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ヘジンとは何者か・妻を殺害した理由
等々が明かされる
夫ジンハンは妻に飼われている状態
その状態に嫌気がさして抜け出すために
大学の学生ヘジンと不倫→妊娠
刑事ジュンシクは
不倫相手の把握・殺害予告の音声データ
を入手し ウラは取れ始める
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<終盤>
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ドンデン返しをカマす
"不倫してた学生ヘジンは実在しない"
観てる者を全てに 夫ジンハンの
"妄想"
だと引きずり込む
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「もしかしてホラー?」
という流れを作ってみて
一旦鑑賞者を混乱させる
刑事ジュンシクの嫁とその妹は
夫ジンハン・嫁ソリに車で轢かれる
その妹はかろうじて生き延びる
そして不倫していた学生ヘジンは
殺されたジュンシクの妻の妹だった
事件の日
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"2007年7月20日"
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を想起させワザと事件のことを
ジンハンに知らしめる
刑事ジュンシクは復讐のために
あらゆる舞台を作り上げていた
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これらは全てミスリード
・侵入者がいたように思わせた
・研究所内のあらゆる異変
・電光掲示板の表示
・防犯カメラのエピソード
・妻ソリの遺体を運び出した人物がいた
・学生ヘジンが妊娠した
・クルマ後部をワザとぶつけた
・女の足跡が見つかった
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正直「何故それを知ってるのか?」という
つじつまが合わない部分もあるにはある
このまま刑事ジュンシクの復讐によって
夫ジンハンは殺害されるかと思いきや…
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"夫ジンハンが妻ソリを遺体遺棄した"
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という法の裁きを受けさせるという
正攻法な展開に持ち込む
埋められていた刑事ジュンシク妻の死体は
見つかったが最終的に映さない
夕焼けの中 復讐はそっと終わる
もしあの時 ジンハンがヘジンに
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自分は人を轢いたことがある
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というエピソードを語っていたら…
「別のエピローグになったのかもしれない」
と 妙な期待感に駆られてしまった