フクイヒロシ

デッドバケーションのフクイヒロシのレビュー・感想・評価

デッドバケーション(2018年製作の映画)
3.5
音楽×映画の祭典 [MOOSIC LABO(ムージック・ラボ)2018] の中の一本『デッドバケーション』。
映画監督八幡貴美とロックミュージシャンGALAXIEDEADの組み合わせ。

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GALAXIEDEADのボーカルのデッドさんがかなりのドクロ顔でいらっしゃるので(たぶんそういうことでお名前がデッドかと…)、地縛霊という役はもちろんハマり役。

『普通は走り出す』同様、こちらもデッドさんの歌の良さがまっすぐ伝わってくる。
声がいいなあ、歌詞がいいなぁ、メロディがシンプルだけど聴かせられるってことはやっぱ声がいいんだなぁと。


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劇中で
「他人に期待しすぎなんだよ」とデッドさんが主人公の女の子に言います。


先日観た『真っ赤な星』という女性映画では、
主人公の女性2人が同化しようとしてるんじゃないかってくらいにぶつかり合っていて
「自分と他人の境界線があいまいなんだなぁ」と思いながら、おじさんは観ていました。


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20代前半くらいだと確かに「なぜ他人ってのはこんなにも自分の思い通りにならないのだ!」と苦しんでいる時期かも。

僕は8年くらい前に「この人ってずっと他人なんだ。。自分にはならないんだ。。」と実感したので、
僕はたぶんその時やっとオトナになれたのだと思います。。。


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この『デッドバケーション』の八幡貴美監督が製作したブライダルCM(https://www.youtube.com/watch?v=758erqtnTD4)にも
「結局他人じゃんっ!」と広瀬アリスが発狂するシーンがある。
(その23秒後に薬指に指輪はめるんですが)

他人は結局他人だと〝知る〟ことから実はやっとその人自体が見えてくるんですよね。

自分と同一視するのをやめたところからやっと疲れない付き合いができるようになれる。


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で、この『デッドバケーション』はその前。

主人公はデッドさんに「他人に期待しすぎなんだよ」と叱られるだけあって、
まるで登場人物全員が主人公の成長のために存在しているかのよう。

みんなが主人公を見ている。

こんな世界ないんですよ。
でもこの時期ってそういう風に考えてたかも。

しかもこの主人公は失恋したばっかで、たぶん地球で最も不幸なアタシ状態。


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だから、デッドさん演じる地縛霊も本当に存在したのか疑わしい。。

主人公が自分を救うために自分で作り出した幻影かもよ。
主人公にしか見えないんだし。

隣に恋愛相談相手のゲイが住んでるってのも疑わしい。。


全体的に寓話っぽい。
でも20代前半までって人生自体が寓話っぽいんよね。。


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はぁ、、またおじさん感想になってしまった。。