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アンカット・ダイヤモンドのgeminidoorsのレビュー・感想・評価

アンカット・ダイヤモンド(2019年製作の映画)
3.8
かなり前から気になっていた作品だった。
役者の天然的な詐欺師挙動は好みじゃないし、お話自体に興味等無い。
我が家ではパートナーと並んで観終えて、この様に"好き・嫌い"が別れた作品も超久々だ。
平日でもたまたま互いに帰宅が早かったから2h強の尺映画を観れただけでもワタシは喜んでいたし、正直コレとリズムの似た作品が頭に浮かばないからこそ、"面白い作品ダナ"と感じたのだった。
対してパートナーは、なんだか不快が増すばかりで楽しめなかったらしく。



畳みかけ、覆い被さってくる会話や騒音や、忙しない効果音や曲もさることながら。
エチオピアの鉱山からミクロの決死圏ばりアダプテーションばりに深く潜った先が、内視鏡に映る内臓世界。それがアダムの。
="オエ〜💦"と成る。
だが、その様に冒頭の池に投げられた石が、どの様な波紋を現したり、どの様な鎮まりを魅せてくれるのか…
ずっと期待して観たのだが、最後は呆気ないお決まり的な収束だったから。
其処は残念賞。

そうだなあ…感想が別れた理由でもある刺激とは?ズバリ "不快感" ニアイコール"苛々感の応酬" だと思うから、その辺りの"作り手の罠はある意味確か"でもあり匠(たくみ)でもあったのかも知れない。

少なくとも、双子座のAB型の自分は
己の中には常に相反し点滅する想いや感覚がたしかに在るのを感じて生きてきた(暮らしてきた)から、本作の様な主人公の過剰さや突っ走り感覚は絵空事には決して感じられない。理解の範疇でもある。
寧ろ艶かしい程の、併しゼロの数がワタシには想像つかない額面で多かろうが、結局は "チープで陳腐"な、或るリアルさをヒシと感じたりして面白く感じたのも、それ又確かな事なんだ。
自分の内側に、他人の感覚や感想になんか揺らがないだけの、感覚のヒダや繊毛は有るはずなのだから。
ワタシはテストの解答欄が狭かったならば、一言"面白かったぜ"と書こう。



(先に書いた)作品内のタイミングとして"チープで陳腐"の筆頭は、ビリー・ジョエルの有名曲が挿入されたタイミングとミキシング程度がワタシにはプスっと笑えて仕方なかった。

もし、過去のアダム色を出してくるならどうだろう?
もう1曲切ない場面に、是非S&G解散後のアート・ガーファンクルのソロを。
彼の美しく高い声がN.Y.の乾いた寒空を唄いあげる。その時、カメラは寄っていくが、背中越しにアダムは確実に泣いているのが判るーなんて感じで。
もう1曲は調子に乗って彼がストリートを闊歩する場面で、ルー・リードなんかが流れたらイヒッと笑えただろうナ!


しかし…本作ではそんなのは流れない。

繰り返すが、耳障りな迄の音と台詞の応酬だ。
それこそが、アチラの裏通りの空気なのかも知れない。
ワタシは実際に其処をよくは知らない。暮らしてないからワカラナイ。
なのに、或るリアル感を得た。

かなり疲れる作品だったが、好きだ。

でも、もう一度は観ないだろう。
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