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WALKING MANのkiritoのレビュー・感想・評価

WALKING MAN(2019年製作の映画)
3.8
【這い上がれるか?】

これは掘り出し物。かなり良かった。
監督のANARCHY?に関しては誰それ?って感じだけど。

極貧の母子家庭で育ち、汚れたコンバースをはき吃音症かつコミュ障の主人公アトム。
ある日、母が事故にあい、保険を滞納していて、医療費すらまともに払えない現実を知る。さらには思春期の妹はセーターやスマートフォンが欲しいといいだして・・・

彼自体が心の優しい青年という設定こそ普通だが、仕事をこつこつとこなすタイプであり、リサイクル業の仕事中にラップに出会うというトリガー、さらに、ラップを初めて以降、吃音症の彼がリズムをつかみだすのもまた、バイト(街中で通る人を数える)のカウンターボタンから始まるという細かな設定がにくい。

いわゆる「ガリーボーイ」(2019)をなぞったシンデレラストーリーだけど、日本らしさが出ていてこれはこれでよかった。

お金が払えない、お金を稼ぐためには体を売るしかないという貧困の闇から、彼が抜け出した先にみた光景とは

問われる若者の「自己責任論」に対して切り込む一作。

※野村周平の吃音症もめちゃくちゃうまくて見直した。

2020.5.13
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