【這い上がれるか?】
これは掘り出し物。かなり良かった。
監督のANARCHY?に関しては誰それ?って感じだけど。
極貧の母子家庭で育ち、汚れたコンバースをはき吃音症かつコミュ障の主人公アトム。
ある日、母が事故にあい、保険を滞納していて、医療費すらまともに払えない現実を知る。さらには思春期の妹はセーターやスマートフォンが欲しいといいだして・・・
彼自体が心の優しい青年という設定こそ普通だが、仕事をこつこつとこなすタイプであり、リサイクル業の仕事中にラップに出会うというトリガー、さらに、ラップを初めて以降、吃音症の彼がリズムをつかみだすのもまた、バイト(街中で通る人を数える)のカウンターボタンから始まるという細かな設定がにくい。
いわゆる「ガリーボーイ」(2019)をなぞったシンデレラストーリーだけど、日本らしさが出ていてこれはこれでよかった。
お金が払えない、お金を稼ぐためには体を売るしかないという貧困の闇から、彼が抜け出した先にみた光景とは
問われる若者の「自己責任論」に対して切り込む一作。
※野村周平の吃音症もめちゃくちゃうまくて見直した。
2020.5.13