ヨッシー

映画 少年たちのヨッシーのネタバレレビュー・内容・結末

映画 少年たち(2019年製作の映画)
1.1

このレビューはネタバレを含みます

『映画じゃなくてMVにしろよ。」

ジャニーズの若手アイドル達による舞台『少年たち』を映画化。

少年刑務所に収監された少年たちの友情を描く。

監督は『超高速!参勤交代』『空飛ぶタイヤ』などの本木克英。
『SixTONES』『Snow Man』『なにわ男子』『関西ジャニーズJr.』などのメンバーに加え、『関ジャニ∞』に横山裕などの出演。

舞台の映画化、しかもジャニーズということもあって内容は見る前からお察しの当たり屋案件。
結果はある意味予想以上の酷さ。

最近だと『PRINCE OF LEGEND』や『レイドバッカーズ』なんかも同じだったけど、今回の『映画 少年たち』もとにかくキャラクターが無駄に多すぎる。
物語の大半をその多すぎるキャラクターの紹介に使っているせいで話が全く進まないし薄っぺらい。
その上本作はミュージカル映画でもあり、そのミュージカルシーン中は話が停滞してしまっているから余計に話が進まない。

当然尺がそこまで長くないのにもかかわらず登場人物が無駄に多いから一人一人の掘り下げは全くできていないし、しかもみんな同じ服装だから正直見分けるのが大変。

本作は一応、過去に過ちを犯した若者達が人生をやり直す物語として作ってるんだとは思うんだけど、とてもじゃないけどそれができているとは全く思えない。
各キャラクターの過去はだいたいセリフで説明するか回想シーンを入れてくるかで映画的には褒められたものではないし、それぞれの過去の過ちやトラウマを乗り越えた描写がほぼないから話は超薄っぺらい。にも関わらず邦画のダメなところであるやたらと感動的なクドい演出が来る。まさしくダメな感動ゴリ押し映画の典型。

終盤になると「刑務所ものをやるならこれはやらないと」と言わんばかりに脱獄ものになるが、中盤で各キャラクターの関係性をちゃんと掘り下げてないから主要人物達が「お前達となら失敗して刑が増えても本望だ」みたいな空気でチーム化してるのも納得できないし、最初はまだ計画的な脱獄だったけど、いざ始めてみればとりあえず「あっちだ!」とか言って走ったり、追いかけてきた看守と適当にバトルしたりとかなり行き当たりばったりな上かなり単調な動きが目立つ。

そもそもこの脱獄の目的はジェシー演じるジョーを逃して母親と再会させる事なのに、結果的にはその目的は達成できず、それまで大して目立ってなかった妻子持ちの奴(ここ少年刑務所だよね?)だけが成功する結果になっているからメインの目的がボロボロじゃん。この1人だけ逃げた奴も奥さんと再会した直後に捕まってて、結果的にコイツは脱獄までして一体何を得たんだ?って感じ。

しかも、この脱獄の中であるキャラがクソしょうもない理由で死ぬというアホみたいな展開があって、それもミュージカルシーンでなんか感動“げ”な雰囲気を出してるだけで、特に意味がない展開になってる。
最終的に脱獄の目的は果たせず、囚人達の成長も全く描けず、彼らは何も得ることもなかったのにもかかわらず、エピローグで彼らは成長して出所し、しっかり更生して生きてますよみたいな風にされても納得できるか!まさに”〇〇げ“で全てが構成されている。

他にも関ジャニ∞の横山裕が演じてる看守長的なキャラクターがいて、コイツは要するに監獄ものではよくあるクソ看守的なキャラクターで、過去に囚人達にリンチされたらしく、囚人達に強い憎しみを持っているキャラなんだけど、コイツのクソ看守っぷりの出し方が適当過ぎて、なんか持ち物検査でしょうもない嫌がらせをしたり、暴れた囚人に体罰をしたりする程度で、囚人達が「あいつが来てからここは地獄になった」とか言ってたけど、全然そんな風に見えない。
しかも、最終的にコイツは囚人達を更生させるためにやっていた意外といい奴だったみたいな雰囲気を出してくるのも納得できないし、ラストシーンのアレに至ってはもう何が何だか訳がわからない。

こんな感じでストーリーは本当に壊滅的。
じゃあミュージカル映画としてはどうかと言えば、その点も映画としては全然褒めらたものじゃない。
はっきり言って本作のミュージカルは映画的な要素はほぼ感じられるず、どちらかというとジャニーズJr.のミュージックビデオを見せられている感覚だった。
同じ邦画のミュージカル映画なら最近だと『SUNNY 強い気持ち・強い愛』なんかがあったけど、アレと比べても数段劣る。
ただ、冒頭の最初のミュージカルに関しては少しだけ認めてもいいかなと思うところはある。
冒頭のミュージカルは4曲ぐらい続けてかなり長いワンカットでミュージカルが続くんだけど、単純にその長いワンカットの頑張りは認めてもいいと思う。
でも、その中で主要キャラの名前をテロップで出してキャラ紹介されても全く覚えられないし、見分けがつかないのはかなり減点ポイントかな。

役者陣に関してはマジで褒められるところは皆無。ほぼ全員舞台的な演技が目立つ。元々は舞台だったからかもしれないけど、映画にするんだから映画的な演技をしろよ。

まとめるとストーリーもキャラクターもミュージカルも映画としては...映画じゃなくても褒められたところは全くない超駄作。
マジで何でこれを映画にしたのか理解に苦しむ。
僕にとっては2時間とない尺ですらかなりに苦痛だったが、ジャニーズJr.ファンにとってはもしかしたら彼らのカッコいいミュージックビデオがスクリーンで観れるいい作品なのかもしれない(僕には全く理解できないが)。
というわけで、ジャニーズJr.のミュージックビデオを見たい人にはオススメですが、僕には今年のワースト候補です。
ヨッシー

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