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ディープ・ブルーのpsychedeliaのレビュー・感想・評価

ディープ・ブルー(1999年製作の映画)
5.0
このところレニー・ハーリンの映画を本作含め何本か見たのだが, その上で断言することは, 本作がハーリンの最高傑作だということだ。「シリーズ物は一作目のみ傑作」の法則を破って意外と面白く出来てしまっていた『ダイ・ハード2』や, 嫁自慢映画の『ロングキス・グッドナイト』よりも, トラッシュ・フィルムにしかなりようがないはずの鮫映画を, 『ジョーズ』に次ぐ(といって背中は見えていないのだが)快作に仕上げた本作の方がハーリンの力量を知らしめるに相応しいだろう。十数年前までは『アナコンダ』『ザ・グリード』と並んで頻繁にテレビ放映されていたB-Movieの代表作で, 20代中盤前後の人々には特に馴染みが深いと思われる。なぜなら彼らはその頃中学生という思春期のど真ん中にあって, その年頃というのはそろそろテレビアニメから脱皮して映画やドラマに移行する傾向が強く, 本作のようなパニック映画はまさにその橋渡し的役割を担っていたからだ。事実, 私も初見の中学生当時にかなり楽しんで見て, 『ジョーズ』よりも面白いと思った。
今見るとさすがに『ジョーズ』以上とは思わないけれどそれでも頭抜けて良く出来たパニック映画だという感想に変わりはない。『ポセイドン・アドベンチャー』など優れた先駆作に比べると人間ドラマが類型的でコクに欠けるが, その分ショック・シーンのつるべ打ちで観客を飽きさせない。キャリア的には既にピークを過ぎてこの出来栄え。ハーリンの復活を願って止まない。
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