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ブルーアワーにぶっ飛ばすのQTakaのレビュー・感想・評価

ブルーアワーにぶっ飛ばす(2019年製作の映画)
3.8
久しぶりにスクリーンにかぶりつく楽しさを想い出した。
勢いって大事だ!
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ストレス社会で押しつぶされそうな毎日。
自分が何やってんだか分かんなくなった時。
そこから立ち直るって話なんだが。

しょっぱなから、ブチ切れて始まる。
やさぐれて、飲んだくれて、グチ飛ばして。
そこに、謎の友だちがハイテンションで登場する。
この辺りまでで、スクリーンにすっかり引き込まれていた。
首根っこ掴まれて、引き摺り込まれたって感じだった。
こういう映画って、久しぶりな感じだ。
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映画のリズムをハイテンションに刻んでいたのは、シム・ウンギョン演じる友だち「清浦」。
のっけからハイトーンで捲し立てて、夏帆演じる売れっ子ディレクター「砂田」の背を押すようにして物語が動き始める。
この二人が揃ったあたりで、スクリーンにかぶりついていた。
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砂田の田舎。
何もかもがつまんない田舎。
東京の日常も地獄のような時間の流れだったが、
田舎はそれとは別の、最悪の場所だった。
親も、兄も、なんだか分かんないくらい最悪だった。
そして、砂田自身も最悪の一人だった。
でも、その傍にいる友だち清浦は、何故か、その場の雰囲気にそぐわない明るさで、ハイテンションで、言ってくる。
「ダサイっすよ」
頑張って、つっぱって、必死に毎日やって来たことを振り返る。
なんだったんだろう?って気づく。
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子供の頃の記憶から出てくるシーン
夜明け前の薄明の中を、廃線跡の真っ直ぐな砂利道を駆けて行く。
どこへ向かうともなく、一本道を、颯爽と駆けて行く。
この姿だけで、十分気持ちイイ。
セリフの中では、「無敵」って言ってるけど、まさに敵無しの勇姿だ。
そこには、誰にも邪魔されない自由な姿があった。
いろんなものに絡まれて、失った自由。
その自由を取り戻す、それがこの田舎への友だちとの旅であったのかな。
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この映画が伝えているものは、とても静に、とても柔らかく、人生のステップを一つだけ登る、その瞬間だったのだと思う。
映画のシーンや、主演の二人の、ハイテンションなやりとりとは裏腹に、ラストシーンで見せる柔らかな表情は、まさに肩の荷を下ろして、素の自分に戻って、新たな自分を発見した姿だった。
多分、この映画は、毎日を頑張っている人への大切なメッセージになっているのだと思う。
「ダサイっすよ」ってね。
この言葉に、どう応える?
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二人の主演女優
夏帆さん、結構ぶっ飛んでましたね。
かなり振り切れていた。
やさぐれ感がイイ感じだった。
これは、今までの映画と違うところでしたね。
一方の、シム・ウンギョン。
夏に見た「新聞記者」しか知らないけど、パワフルな女優さんですね。
やっぱり、韓国の映画人は凄いんだなぁ。
もっと見たくなりました。
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