くりふ

フットライト・パレードのくりふのレビュー・感想・評価

フットライト・パレード(1933年製作の映画)
3.5
【シンクロナイズド上海リル】

これは、バズビー・バークレーの人海戦術というか人プール戦術というか、水着お姉さん特盛り万華鏡水中レビューをきちんと見たくなり、借りました。

いわゆるバークレー調ミュージカルが開花するのはこの辺りですよね。今ならCGコピペでお姉さん特盛りしそうだけど、やぱナマは違います (笑)。この「By A Waterfall」だけでも、本作にはみる価値があると思います。

巨大女体水芸タワーがごごごと盛り上がる頂点に至ると、もはや笑うも忘れ、開いたままの口にごごごと注がれる水に溺れるような快楽しか残りません。シンクロナイズド・スイミングの起源のひとつもこの辺なんでしょうね。

ヘイズ・コードの厳格適用は1934年からだそうですから、本作はギリ免れ、水着の股間にカメラが寄っちゃってそのまま映すショットもあります。うっかり撮っちゃったのか、確信犯なのか。バークレー的には後者かと。

軍隊で行進指導などの実績を積み、マスゲームに惹かれていったこと、また美しき女優の母を持つマザコンで、なかなかの変人だったらしいこと。

この呆れるほどの完成度は、そんなバズさんの出自から来ている気はします。女体への偏執的な拘りがなければ、ここまでのものはできないかと。やはり変態が作る映画の方が面白くて長持ちするなあ、と確信しました(笑)。

お話は、最近流行の(笑)映画界トーキー化によるゴタゴタ劇。題材は面白し。

舞台演出家が、劇場が映画上映に切り替わるので仕事を奪われ、映画上映前に上演する「プロローグ」である新事業を思いつき、対抗する。

しかし、この新事業で切り込んでゆく辺りまでは面白かったんですが、その後、テンポはよくてもありがちだなあ…という展開でダレました。役者さんの個性を薄く感じて、あまり惹かれなかったことも大きいです。

んがダレた後、やがて怒涛のミュージカル攻撃が始まり、ダレ一瞬で忘却へ。見応え特盛り豪華3本立て!

うち一本が「By A Waterfall」ですが、忘れちゃいけない「Shanghai Lil」。私が幼い頃はまだ、たま~に、ラジオでこの曲が流れた記憶があるのですが、本作が元ネタだったんだ。ジェームズ・キャグニーの小気味よいタップダンスが炸裂します。

キャグさん出演作は殆どみておらず、ギャングな人、という印象でしたが、ビシッと踊れますねえ。さすが、と感心しました。当時の役者さんには、こんなスキルを持つ人がゴロゴロいたんでしょうね。

あとで冷静になると、最後のショーがこういう作りになるとおかしくね?と首を傾げてもしまうのですが、最後の踊る何とか見る何とか力が凄いので、まあいんじゃね、とキモチよく騙されることにしたのでした。

<2012.6.28記>
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