終始表情の乏しいユリシーズがディジョンとの初めてのキスで見せるはにかみ顔、心の拠り所の仲間に見せる等身大の笑顔、最後母親に受け入れられた時の安心したような微笑みがいい。コミュニティを見つけて自分の心に素直に、少しずつ自信をつけながら綺麗になっていくのも。
一貫してなんだコイツと思っていた叔母が最後に言った「黒人でゲイであることの困難さ」はアメリカでは自分が想像以上の現実のひとつかもしれなくて、ユリシーズを責めることは決して間違っているけど、こういうことまで見えていることは大事だよ、と伝え方によってはユリシーズの防備の一部にはなったのかも。
感情の起伏がそこまで大きくない作品なので、ミュージカルシーンには少し違和感を感じる演出だったかな。