TakuoAoyama

サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所のTakuoAoyamaのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

試写会にて。

キノフィルムズ試写室初めて行ったけど素敵な場所だった。

LGBTQ支援者による実在する素敵な"サタデー・チャーチ"という取り組み。2011年にフィールド教会が本プログラムに乗り出したことを発端に今では約30もの教会で行われている。24歳までの若者達に衣食住、安全なセックス指導、HIV検査、ダンスやバスケのスポーツ、相談等の場を提供。

監督自身は同性愛者で、母の友人の教会でボランティアを務め、実体験と綿密なリサーチを基にし、脚本を書き上げ、自身初の長編監督・脚本デビューとなり、作詞も担当した。映像の半分以上は母が司祭を務めるセント・ピーターズ教会で撮影された。主演は100人を超えるオーディションで選らばらたブロードウェイやTVシリーズのルカ・カイン。実際にトランスジェンダーの妹を持つ。仲間達にはエボニー役にMJ・ロドリゲス、ディジョン役にインドゥヤ・ムーア、ヘブン役のアリシア・ガルシアとトランスジェンダーの俳優を抜擢。

学校も家にも居場所がなく、ジェンダーに迷う青年。大好きだった父の死後に出会ったLGBTQの仲間達と向かったのはサタデーナイト・チャーチ(土曜の夜の教会)。そこは厳粛な昼の教会の顔とはうってかわって、仲間達と語らいながらダンスと音楽を楽しむ素敵な心の拠り所だった。

「抱えている感情が大きすぎて言葉にならない時に歌にする。言葉では足りないから歌になる。」というミュージカル文法を当てはめたと監督は語る。

「選んだ道を、強く歌う」というキャッチコピー通り、それまで妄想の中だけで繰り広げられていた彼の歌と踊りが、ラスト現実に昇華され、ドラァグクイーンとして華々しくランウェイを歩くシーンをもう少し長く観たかった。エンドロールのヴォーグダンスのシーンは実際のコンテストを監督がiPhoneで撮影したものだそう。

映像としてのミュージカルにしては完成度が低く、唐突な気がしたのが少し残念。

「何があろうと愛してる。それは覚えておいて」と歌う母親の姿にはグッとくる。
TakuoAoyama

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