ある日、父が死んだ。
その日を境に、ユリシーズは自分の衝動を抑えられなくなっていく。
ワンピース、ハイヒール、それはかつて父からも母からも禁止されたもの。だけど、自分が何より望んだもの。
決して表に出せなかった"自分"を出せる場所との出会い。そして、"自分"を認めてくれる仲間たちとの出会い。
進めなかった一歩を踏み出したユリシーズの辿り着いた先とは…?
「サタデー・チャーチ」とは、土曜の夜の教会で行われる、ホームレスやLGBTの若者たちへの支援プログラム。
この作品は、ニューヨークに住むLGBTの彼らが実際に直面している"現実"を綿密にリサーチし、それを元に描いた作品らしいです。
思春期真っ盛りなユリシーズの繊細な心を上手く表現した演技が、光っていました。他のキャラクターたちもみな個性的で、最初は眉をひそめても、最後には好きになってしまう魅力が溢れていました。
ただ正直、ミュージカル要素は無かった方が良かったのではないのかなと思えました。それほど唐突で、この作品から浮いて見えてしまっていた。それが凄く残念でした。
しかし、歌だからこそ伝わるメッセージもあるでしょう。特に、それを受け取るべき若い子たちには。
願わくば、"今"を悩む彼らに、この作品のメッセージが届くことを祈っています。