そこは不思議な何かがある。
そこには自分の居場所がある。
そこへ行けば自分が変われる…。
LGBTに悩む、ある青年のストーリーです。
誰にも言えない、誰にも認めて貰えない。
そんなモヤっとした気持ちを燻らせながら過ごす毎日。
隠れて母のヒールを履いてみたり、
こっそりとストッキングを身に付けてみたり、
ユリシーズ(ルカ・カイン)が唯一自分を解き放ちホットする事の出来る大切なひととき。
LGBT専用のショップから出て来る人が気になり、気がつくと目で追ってみたり、
彼女(彼)等の集まる港の一角に行き、誘われるがまま着いて行ったのがきっかけで、
土曜日の夜にだけ彼等が集まるその教会がユリシーズの唯一の居場所となり、
彼等が心の拠り所となるのでした…。
パンフレットを読むと最初に、LGBTQと書かれていました。
LGBTは、L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシュアル、T=トランスジェンダー の略だと言う事は知っていましたが、
Qって一体何?って思って調べてみました。
Qとは、Queer(クィア)、Questioning(クエスチョニング)の略だそうです。
クィアとは、セクシャルマイノリティー全般で風変わりなとか言う意味も持ち、どれにも当てはまらない人を言います。
クエスチョニングとは、クイアとは少し意味合いが違って、
まだ自分が決められないとか、はっきり決めたく無い人を言う様です。
ユリシーズはそのQの部分のどちらにも当てはまるタイプなんだと思います。
躾に厳しい叔母が放つ言葉の暴力、
それを受けるユリシーズを観ていると、胸が痛くなります。
強くならざるを得なかったであろうジェンダー達の優しさも心に沁みました。
レイモンドとの淡い恋は、ある意味微笑ましくて好きなシーンです💓
それにしても、途中差し込まれる音楽がお洒落で、
ただBGMを流すのでは無く、
イヤホンから聴こえて来る音楽だったり、
電車のゴトンゴトンと言う音が音楽に繋がったり、
生活音からの音楽だったりと、
お洒落感満載、オリジナリティー溢れる演出になっているのも見逃せません。
gleeの様な軽いミュージカル仕立てで演出され、
出演者の歌があまりにも素晴らしく、
調べてみると、ブロードウエイ俳優だったり、舞台俳優をしていた人が多くて、妙に納得してしまいました😄
実際には、LGTBをなかなか理解出来ない人も未だ未だ多いかと思いますが、
男らしさ、女らしさ、を問う前に、
自分らしさとは? と一度立ち返って、
自分の価値観を人に押し付けることの愚かしさ、
他者を尊重することの大切さが如何に必要かを問われる映画でもあるのでは無いでしょうか。