うたまるさん

サムライマラソンのうたまるさんのネタバレレビュー・内容・結末

サムライマラソン(2019年製作の映画)
1.3

このレビューはネタバレを含みます

一体、何を見せたかったのだろう⁉︎な映画。

この物語の背景は群馬県安中市にて実際に行われている人気のマラソン大会で、日本のマラソン発祥とも言われる「安政遠足(あんせいとおあし)」がモデル。
その昔、安中藩主の板倉勝明が有事に備えて、藩士の体力向上の為に、安中藩と山の上に位置する熊野権現までの道のりを遠足(“とおあし”今で言うマラソン)で往復させたとする記録が残されている。

私自身もこのマラソン大会に参加した経験があるので、本作品の完成のニュースにワクワクしていたのだが…。

まず、映画を彩るキャストの面々としては、主役級の俳優がずらりと揃った豪華な顔ぶれ。
しかも、主演は「るろうに剣心」の佐藤健。殺陣も見所の一つと想像が膨らみます。

次に製作スタッフは、トムクルーズ主演の「ラストサムライ」の監督を始めとしたメンバー。
もしかしたら、また国際的な映画になるのかも…と、こちらも期待せずにはいられません。

し・か・し、中身はちょっとズレていたかな〜というのが率直な感想です。
違和感の一つに挙げたいのが、作品の中で終始使われているBGM。ずーっと、オーケストラ音楽が鳴りっぱなしなので、正直少し耳障りに感じてしまった…。
音楽はもう少し効果的に抑揚をつけた方がいいのでは、と素人ながら感じざるを得ない使い方。まぁ、監督としてもこれこそがやりたかったことの一つなのかもしれませんが、気になってストーリーが入ってこない…。まるで映画ではなく、イメージ映像を見せられているような感覚です。

肝心の殺陣に関しても佐藤健と青木崇高とのシーンは面白いものではあったが、何故彼らがお互いに斬り合わねばならないかというストーリー上の伏線が少な過ぎる。
他にも幕府からの刺客が暴れ回るシーンでもあっさり過ぎて侍映画ではなく、現代劇のギャングムービーを観ているようなタメの無さ…。
きっと、今までにない新しい侍映画を撮りたかったんでしょうね。
だとしたら、この素材に当てはめなくても良かったのではないかと疑問を感じざるを得ません。
そういえば、佐藤健も舞台挨拶にて、「こんな時代劇もあるんだなぁと勉強になりました。」と賛辞ではない表現をしていたのが今となってはその感情を察することができます。
他にも、出演した役者さんが発した「いろんな意味で大変だった作品です。」という言葉にも演者側の苦労が伝わります。

今までの時代劇にうんざりしている人が観たらそれなりの高評価が得られるかもしれませんが、私としては何の映画を観せられているのかわからなくなってしまう作品でした。
この映画を見る限り、チャンバラ映画はやはり日本人監督の方が面白いとしか言いようがありませんね…。

いやいや、かなりの悪口を書いてしまいましたが、陳腐なストーリー設定や藩主の板倉勝明の人物像も伝わってこない部分など言いたいことをかなり抑えてはいるんですけどね…。

まぁ、色んな映画を観ておきたいという方にはオススメです(笑)
うたまるさん

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