mimitakoyaki

彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールドのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

4.0
第一次世界大戦時に撮られたフィルム映像をカラー化し音を当てて、元兵士の証言インタビューなどを加えて作られたドキュメンタリー作品です。

開戦時、悪いドイツをやっつけてやろうなどとたくさんの人が志願したという事で、中には年齢を偽って15歳の子もいて、その時はそんなに深く考えてなくて無邪気な愛国心からだったようですが、いざ戦地に赴くと、不衛生で食べ物も少なく、前線では爆撃があったりで周りの人が容赦なく殺されていくなど、地獄そのもので、まだあどけない少年達がこんな過酷な地で壮絶な体験をしたのかと思うと辛くなります。

ドイツ兵とも一人の人間として見ると、同じ若者同士で通じ合うものがあったり、そんな事も元兵士がインタビューで語っていて、個人的には何の関わり合いも恨みもなく、もし普通に知り合ってたら友達になれたかもしれないのに、ただ敵だからと無惨に殺し合う戦争の愚かさと虚しさをすごく感じました。

戦闘の合間には兵士同士で楽しげに過ごす様子も見れて、リアルな戦地がそこにはあって、100年前の出来事を今だからこそできる技術で蘇らせ、もう今では聞けない証言とともに記録した非常に貴重な歴史資料になっていると思いました。

多くの仲間が頭や身体の一部を吹き飛ばされ、ハラワタが飛び出し、腐乱したまま放置され、踏まれて野垂れ死にし、自分もいつ死んでもおかしくない壮絶な現場にいて、でも終戦後に帰国したらまるで別世界で、みんな無関心だし、自分達の苦労も苦しみも恐怖も理解されず、仕事に就けるかも不安で…と、冷たい世の中に打ちのめされたりした人もいて、あれだけ多くの犠牲者を出したあの戦争は一体何だったのかと思わずにはおれませんでした。

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